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月別アーカイブ: 2025年8月

万寿農園の農園日誌~商品設計×温度×表示×SNS~

皆さんこんにちは

万寿農園の更新担当の中西です。

 

~商品設計×温度×表示×SNS~

良い実ほど時間と温度で価値が決まります。朝どれ→選別→予冷→出荷3時間以内に収め、SKU(品目設計)×表示×体験をテンプレ化すれば、直売も業務もECも在庫が残りません。即導入できる“売れる型”を公開。


1|商品ラインナップ“3階建て” ️

  1. ベース

    • 大玉トマト(ブレイカー/ピンク/レッドの段階別)

    • ミニトマトMIX(赤・黄・オレンジ)

    • ピーマン(秀L/M、朝どれシール)

  2. ミドル

    • 調理向けトマト(加熱用・規格外ミックス)

    • 肉厚ピーマン(肉詰め・グリル向けサイズ)

    • ソース/ラタトゥイユKIT(レシピカード同梱)

  3. プレミアム

    • 糖度タグ付きロット(°Brix表示)

    • 単一圃場ロット・化粧箱(贈答)

すべてに採収日・ロット・保存温度を明記=信頼の土台。


2|“3時間動線”と温度管理 ⏱️❄️

  1. 6–8時 収穫:畝端で一次選別→即予冷

    • トマト 12–15℃、ピーマン 7–10℃(高湿)

  2. 8–9時 選別・包装結露ゼロで袋/パック詰め

  3. 〜11時 出荷:直売/飲食/量販/ECへ振り分け

  • 混載NGエチレン感受性に注意(ピーマンは特に)。


3|等級・検品・箱づくり

  • サイズ・色・硬さ秀/優/Bを固定化。

  • 外観:裂果・傷・日焼けはBへ。

  • 通気孔付き、段積み高さを規定。すべり止めで倒壊防止。


4|表示・POP️

  • :品名/内容量/採収日

  • :保存温度(トマト12–20℃・ピーマン7–10℃)/生産者/ロット

  • 食べ方ワンフレーズ

    • トマト「食べる10分前に室温へで香りUP」

    • ピーマン「縦に裂くと種が散りにくい」✂️


5|値付け・在庫・値引き

  • 価格は端数カット198/298/398円など)で即決。

  • セット割:ミニMIX+ピーマン=−50円

  • 値引き:閉店30分前の1回のみ(−20〜30%)。早値引きはブランド毀損⚠️


6|販路別“必勝パターン”

  • 直売所試食(トマト1/8カット)+糖度ボード。ピーマンは肉詰め写真POPで訴求。

  • 飲食店サイズ・硬さ・酸味の要望を聞いて曜日固定便

  • 量販赤×緑の色対比で売場を明るく。箱ラベルに“朝どれ・予冷済”

  • EC緩衝厚め+クール便(ピーマン)/常温〜チルド(トマト段階別)。保存カード同梱。


7|レシピカード(A6・片面)

  • ミニトマトのハニーマリネ:塩→湯むき→はちみつ+酢

  • グリルピーマンのオイル漬け:焼いて皮をむき、オイル+にんにく

  • トマト×ピーマンのラタトゥイユ:切って炒めて煮るだけ
    QRで30秒動画。


8|写真・SNS“3コマ運用”

  • 朝:畑の逆光ショット+「本日◯時並びます」️

  • 昼:**断面(トマトのゼリー層/ピーマンの肉厚)**

  • 夕:在庫速報「残り◯パック/次回◯時」
    ハッシュタグ:#朝どれ #トマト #ピーマン #直売 #今日の副菜


9|クレーム“未然防止”運用 ️

  • トマトの青臭さ食べ時ガイド同梱(室温10分・塩+オリーブ)。

  • ピーマンの苦味縦切り&油と合わせる提案。

  • 潰れ・結露梱包厚・段積み・温度逸脱をチェック。写真→ロット→即交換のルール化。


10|月次ダッシュボード

  • 規格率・返品率・SNS保存数・天候を1枚化。

  • 販路別粗利×歩留まりでSKU配分を更新。

  • 糖度×保存温度×販売速度の相関を来期の設計に。


まとめ
商品(3階建て)×動線(3時間)×表示(保存法+食べ方)×写真(断面映え)。この型だけで売り切る力は安定します。まずは保存カードと糖度ボードを今日つくってみてください。明日のリピートが変わります。✨

 

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万寿農園の農園日誌~“甘さと香りは設計できる”~

皆さんこんにちは

万寿農園の更新担当の中西です。

 

~“甘さと香りは設計できる”~

トマトもピーマンも、苗の質×環境の波形×水と養分のタイミングで決まります。土耕/養液どちらでも使えるように、年間カレンダー・温湿管理・整枝誘引・給液EC/pH・病害虫の初動・収穫と予冷を“そのまま現場で動く型”に整理しました。✨


1|年間カレンダー(温暖地・ハウス一例)️

  • 1–3月:育苗(接ぎ木検討/徒長回避)

  • 3–4月:定植→活着管理(浅植え+初回潅水しっかり

  • 4–6月:開花・着果→整枝・誘引のルーティン化

  • 6–10月:ピーク収穫(環境と給液を“微調整”で維持)

  • 11–12月:撤収・土壌改良/設備メンテ

高温期は遮熱・換気、低温期は保温・根域温で根を機嫌よく。


2|土・培地・pH/ECの目安

  • 土耕:pH 6.0–6.5、有機物は通気性>保水性で。排水性が悪い圃場は高畝+暗渠

  • 養液:スタートEC

    • トマト1.8–2.5 mS/cm、pH 5.8–6.3

    • ピーマン1.5–2.2 mS/cm、pH 5.8–6.3

  • 給液カーブ朝控えめ→昼ピーク→夕切り上げ(日射比例が基本)


3|環境(温度・湿度・風・CO₂)️

  • トマト:昼 20–26℃/夜 12–18℃

  • ピーマン:昼 22–28℃/夜 16–20℃(高温・低温で落花しやすい)

  • 湿度/VPD0.5–1.2kPa帯が安定。結露=病気の入口なので朝の換気→昇温で露を飛ばす。

  • CO₂朝の同化ピーク中心に施用(換気との両立)。


4|定植・支柱・整枝誘引 ✂️

  • トマト1本仕立て+つる下ろし

    • 側枝は早めに除去、房ごとに果数調整(ミニは放任寄り/大玉は4–5果目安)。

    • 摘葉下から少しずつ(一気に抜かない)。房直下の葉を残して糖送りを確保。

  • ピーマン二又〜三又仕立てが基本。

    • 初花(第一花)を摘むと株が乗りやすい。

    • 枝はY字で吊り風で擦れないように誘引。若木は果負担を軽く


5|授粉・着果の安定化

  • トマトマルハナバチ/電動受粉器/ワイヤー振動で花粉を落とす。

  • ピーマン:基本は自家受粉。日中高温(>30℃)・低温(<15℃)・乾燥で落花→遮熱・ミスト・夜温確保で回避。

尻腐れ(Ca不足)は根ストレスと乾湿差が主因。濃度より“安定”。必要に応じCa葉面も検討。


6|給液・施肥の設計

  • ドレイン(養液):ピーク時**20–30%**目安。樹勢が走る→EC上げ/硬い→EC下げ

  • 土耕少量多回。乾湿差を小さくし、猛暑日は朝に寄せる

  • 微量要素Ca・Mg・Bをローテ。N過多=割れ・青臭さ・病気の引き金⚠️


7|病害虫“初期サインと初動” ️

  • トマト:うどんこ、灰色かび、葉かび、疫病、TYLCV、コナジラミ、ハダニ、サビダニ

  • ピーマン:炭疽、斑点細菌病、灰色かび、うどんこ、アザミウマ、アブラムシ

  • IPM防虫ネット+粘着板(黄/青)+天敵/選択剤のローテ発生初期で抑える

農薬はラベル遵守・希釈/間隔・収穫前日数を厳守。


8|生理障害の回避

  • トマト割れ:潅水ムラ・急な降雨→水の波形を滑らかに着色期はややドライ

  • サンバーン(果焼け):急な直射→簡易遮光葉で傘

  • 小玉化・奇形果低温・花粉不足・B不足→環境是正と栄養バランス


9|収穫・予冷・保管 ❄️

  • トマト

    • 出荷段階:ブレイカー〜ピンク(市場向け)/レッド(直売)

    • 12–15℃・高湿で“畑熱”だけ抜く(10℃以下は低温障害⚠️)

  • ピーマン7–10℃・高湿で予冷(低温障害に注意)。

  • 混載エチレン源(果物)と分ける


10|現場チェックリスト ✅

  • ☐ 温湿・VPD・日射・潅水ログ

  • ☐ 房ごとの果数/ピーマンの果負担

  • ☐ 病害虫の初期症状・粘着板カウント

  • ☐ 規格率(秀/優/B)×販路

  • ☐ クレーム写真と是正メモ


まとめ
苗(30%)×環境(50%)×水肥タイミング(20%)。この配分を意識するだけで、甘さ・香り・歩留まりが安定します。明日は朝の潅水を5–10分遅らせて同化の時間を確保してみてください。味が変わります。✨

 

 

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