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万寿農園の農園日誌~“甘さと香りは設計できる”~

皆さんこんにちは

万寿農園の更新担当の中西です。

 

~“甘さと香りは設計できる”~

トマトもピーマンも、苗の質×環境の波形×水と養分のタイミングで決まります。土耕/養液どちらでも使えるように、年間カレンダー・温湿管理・整枝誘引・給液EC/pH・病害虫の初動・収穫と予冷を“そのまま現場で動く型”に整理しました。✨


1|年間カレンダー(温暖地・ハウス一例)️

  • 1–3月:育苗(接ぎ木検討/徒長回避)

  • 3–4月:定植→活着管理(浅植え+初回潅水しっかり

  • 4–6月:開花・着果→整枝・誘引のルーティン化

  • 6–10月:ピーク収穫(環境と給液を“微調整”で維持)

  • 11–12月:撤収・土壌改良/設備メンテ

高温期は遮熱・換気、低温期は保温・根域温で根を機嫌よく。


2|土・培地・pH/ECの目安

  • 土耕:pH 6.0–6.5、有機物は通気性>保水性で。排水性が悪い圃場は高畝+暗渠

  • 養液:スタートEC

    • トマト1.8–2.5 mS/cm、pH 5.8–6.3

    • ピーマン1.5–2.2 mS/cm、pH 5.8–6.3

  • 給液カーブ朝控えめ→昼ピーク→夕切り上げ(日射比例が基本)


3|環境(温度・湿度・風・CO₂)️

  • トマト:昼 20–26℃/夜 12–18℃

  • ピーマン:昼 22–28℃/夜 16–20℃(高温・低温で落花しやすい)

  • 湿度/VPD0.5–1.2kPa帯が安定。結露=病気の入口なので朝の換気→昇温で露を飛ばす。

  • CO₂朝の同化ピーク中心に施用(換気との両立)。


4|定植・支柱・整枝誘引 ✂️

  • トマト1本仕立て+つる下ろし

    • 側枝は早めに除去、房ごとに果数調整(ミニは放任寄り/大玉は4–5果目安)。

    • 摘葉下から少しずつ(一気に抜かない)。房直下の葉を残して糖送りを確保。

  • ピーマン二又〜三又仕立てが基本。

    • 初花(第一花)を摘むと株が乗りやすい。

    • 枝はY字で吊り風で擦れないように誘引。若木は果負担を軽く


5|授粉・着果の安定化

  • トマトマルハナバチ/電動受粉器/ワイヤー振動で花粉を落とす。

  • ピーマン:基本は自家受粉。日中高温(>30℃)・低温(<15℃)・乾燥で落花→遮熱・ミスト・夜温確保で回避。

尻腐れ(Ca不足)は根ストレスと乾湿差が主因。濃度より“安定”。必要に応じCa葉面も検討。


6|給液・施肥の設計

  • ドレイン(養液):ピーク時**20–30%**目安。樹勢が走る→EC上げ/硬い→EC下げ

  • 土耕少量多回。乾湿差を小さくし、猛暑日は朝に寄せる

  • 微量要素Ca・Mg・Bをローテ。N過多=割れ・青臭さ・病気の引き金⚠️


7|病害虫“初期サインと初動” ️

  • トマト:うどんこ、灰色かび、葉かび、疫病、TYLCV、コナジラミ、ハダニ、サビダニ

  • ピーマン:炭疽、斑点細菌病、灰色かび、うどんこ、アザミウマ、アブラムシ

  • IPM防虫ネット+粘着板(黄/青)+天敵/選択剤のローテ発生初期で抑える

農薬はラベル遵守・希釈/間隔・収穫前日数を厳守。


8|生理障害の回避

  • トマト割れ:潅水ムラ・急な降雨→水の波形を滑らかに着色期はややドライ

  • サンバーン(果焼け):急な直射→簡易遮光葉で傘

  • 小玉化・奇形果低温・花粉不足・B不足→環境是正と栄養バランス


9|収穫・予冷・保管 ❄️

  • トマト

    • 出荷段階:ブレイカー〜ピンク(市場向け)/レッド(直売)

    • 12–15℃・高湿で“畑熱”だけ抜く(10℃以下は低温障害⚠️)

  • ピーマン7–10℃・高湿で予冷(低温障害に注意)。

  • 混載エチレン源(果物)と分ける


10|現場チェックリスト ✅

  • ☐ 温湿・VPD・日射・潅水ログ

  • ☐ 房ごとの果数/ピーマンの果負担

  • ☐ 病害虫の初期症状・粘着板カウント

  • ☐ 規格率(秀/優/B)×販路

  • ☐ クレーム写真と是正メモ


まとめ
苗(30%)×環境(50%)×水肥タイミング(20%)。この配分を意識するだけで、甘さ・香り・歩留まりが安定します。明日は朝の潅水を5–10分遅らせて同化の時間を確保してみてください。味が変わります。✨

 

 

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